 

精神科部長 野見山 晃
涼しいのだか何だか今年は夏らしくない夏を過ごしました。夏の疲れが出る頃、秋を迎えて皆様如何お過ごしでしょうか。
さて今回は、心の健康について、少しお話をさせていただきます。心だろうが身体だろうが健康の基本はやはり、快眠、快食、快便であることは言うまでもないことです。我々精神科医は特に”良い睡眠”を重視します。一日の疲れは、その日の良き睡眠で癒しましょうということです。眠らないと疲れが貯まっていきます。あたりまえのことです。ところが、疲れていても眠れない、神経が張りつめたまま緩まなくて眠れないということになると問題です。自然な眠りに結びつかない疲れは”気疲れ”でしょうか。そんな日が続いて、眠れても眠りが浅い感じで、朝起きた時すっきりしない、疲れは貯まる、食欲は落ちる、食事が美味しくない、便秘したり下痢をしたりと胃腸がすっきりしない、なにごとにも”おっくう”で意欲がでない、つまらない駄目な自分だと感じてしまう・・・ということになると、うつ病的な状態に片足をつっこんでいることになります。こんな時は眠剤を用いてでも”質の良い睡眠”を確保することが大切でしょう。気疲れのする時代です。上手に精神科医を使ってください。

|
世の中が悪くなると規則と会議が増えるというのは実感ですが、この不況の時代に、人事異動と会議が多い会社は危ない、というのも患者さんに教えてもらって、『成る程』と感じている言葉です。要するに、余裕をなくしていく方向ですね。学校の先生に例えるならば、事件が起こる、会議が増える、研修会が増える、生徒を抱える時間がない、余裕がない、生徒が荒れる、事件が起きる・・・みたいな悪循環。何かに追われて、びくびくして生きている状況です。明日が怖いのです。失敗を恐れ、先々の心配が高じて未来に脅かされている感じですね。今を生きて、初めて未来が成立する。未来が開けていくわけですが未来に脅かされている状況では、未来は閉ざされ、可能性は封じられ、喜びと笑いを失い身動きのとれない状況となります。生き生きとした”今”が失われているのです。つまりうつ病になるような人は、真面目で建設的な性格ですから、前向きに何かを追いかけて生きている時はとても良いのですが、状況の中で余裕を失い”追いかけられる””追いつめられる”という事態が長く続くようになると、うつ病を発病することがあるのです。 |

|
忙しいときこそ、苦しいときこそ、未来に絶望しかかっているときこそ、相変わらずの自分でいることです。相変わらずの自分でいることの工夫が必要です。相変わらずの自分の中にこそ、本来の自分のリズムと長所が含まれていることを思い出してください。現実は厳しいのだ、相変わらずでいたのでは生き残れない、とお叱りの言葉を頂戴しそうですが今ある自分を否定してあきらめても未来は開かれません。長続きもしません。自分らしい自分の持ち味を思いだしてください。自分らしく生きているときは案外長持ちするのです。自分以外の者の持ち味を真似してみても、効率は悪いし寂しいのです。
豊かになったようでありながら、余裕のない時代です。だからこそ、焦らないで慌てないで、相変わらずのあなたでいてください。 |
|
 |