A.内視鏡で治療可能ながんについて
がんのオーダーメード治療、つまり患者一人ひとりに最適の治療が求められる時代になり、胃がんの治療に内視鏡を使っている症例が増えてきています。どういう症例で可能かというと、胃がんの広がりが浅くて小さい場合で、内視鏡で病気の部分を取り除いてしまうことができます(内視鏡的粘膜切除術)。リンパ節などに転移している場合はこの治療法では治りませんからその場合には手術が必要です。
ですから、この治療法は早期の胃がんの中でもリンパ節転移の危険性のほとんどない場合に行われます。リンパ節転移の危険性のほとんどない“がん”とは、胃がんを顕微鏡で見たときに、がん細胞の形や並び方が胃や腸のなごりを残したがん(分化型といいます)で、がん細胞が胃壁の粘膜層(胃壁の一番表面)までに留まったもので、なおかつがんの大きさが2cm以下のがんをいいます。即ち、分化型がんで、がんが粘膜層までに留まり、大きさが2cm以下であれば、内視鏡で治療可能となります。 |
B.内視鏡的粘膜切除(EMR)について
それでは、内視鏡的粘膜切除術とはどのような治療法かというと、基本的には図に示しますように@内視鏡の中を通した
注射針にて、病変の下に生理食塩水を注入する A病変を把持鉗子にて持ち上げ、細い金属ワイヤー(スネア)にて病変を縛る。Bスネアに高周波電流を流して病変を焼き切るC切除した病変を回収するというものです。
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C.内視鏡的粘膜切除術での病巣の完全な切除について
回収した病変を顕微鏡にて、病巣の広がり、病巣の深さ、病巣の中のリンパ管や血管などを観察します。病巣全体をすべて取り除くことができた場合を完全切除とし、それ以上の治療の必要はありません。しかし、病巣が術前思っていたよりも深く進んでいたり、病巣の中の、リンパ管などにたくさんのがん細胞が入り込んでいる場合は、リンパ節に転移している可能性が高いので、手術でリンパ節を取り除く必要があります。尚、がんが浅くて小さく分化型であっても、がんのある場所が胃の中で内視鏡で完全に切除する事が技術的に困難な部位であったり、がん病巣の中に潰瘍がある場合など、内視鏡で完全に切除することが難しい時には、内視鏡的粘膜切除術は原則として行われません。
内視鏡を使った胃がんの治療は手術にくらべて身体への影響も少なく、入院期間も短いなど利点も多い治療ですが、どんな胃がんでも可能な治療ではありません。ぜひ一度専門科に御相談下さい。 |