内 科

生活習慣病とは?

高血圧、糖尿病、高脂肪血症、心臓病、脳卒中、癌などの病気は皆さんもよく聞きなれた病名かと思いますが、40歳以上になるとかかりやすくなるため、これまでは、「成人病」と呼ばれてきました.これらの病気は、無症状のままゆっくり進行するため、自覚症状が出て発見されたときは、病気がかなりすすんでいて、すでに「手遅れ」だったり、治療を受けてもすっきり治らず後遺症が残る場合が多いようです.しかも、日本人の死亡原因の大部分を占めるため、「成人病」と呼ぶことで、検診や人間ドックの受診をうながし、早期発見、早期治療へ結びつけようというねらいがありました.昭和40年代のことです.このねらいは、胃がん検診などでは、大きな成果をあげ「早期の胃がん」が多く見つかり、手術により完治させることに大きく貢献してきたといえます.検診や人間ドックも職域や地域で盛んに行われるようになり、他の「成人病」も多く見つかるようになりました.しかし、一方では、せっかく早期発見されても、無治療のまま放置され、重い合併症をおこしてやっと「再発見」されるケースも多く、しかも「成人病」そのものが、最近、むしろ増加の傾向にあります.このため、厚生省は、この春、「健康日本21」という10年計画のプロジェクトを発足させ、その中で、「成人病」という呼び名をやめ、「生活習慣病」という呼び名にすることを提案しました.病気の原因がイメージされて治療に結びつきやすく、なによりも「成人病」そのものの予防につながるようにとの期待が込められています.もっとも、「生活習慣病」といっても、なにも好ましくない生活習慣だけが原因でおこってくるのではなく、生まれつきそれぞれの病気にかかりやすい「体質」の上に好ましくない生活習慣が重なって起こってくるといわれています.生まれつきの体質は変えることは困難ですが、生活習慣を健康的なものに変えることで、病気の発症を予防することは十分可能です.食事、睡眠、運動、生活のリズム、ストレス、喫煙・アルコールなどの嗜好品が主なものですが、この中から、「運動」をとりあげてみたいと思います.

人間にとって運動することの意味は?

人間が地球上に登場してから、250万年ほどになるといわれていますが、その大部分の期間は、人間も森に住む動物たちとあまり違わない原始生活を営んでいたと考えられています.この原始の生活においては、「動けなくなる」ということは生存の危機を意味したでしょう.本来、「動く」ということは、地球上の他のすべての動物と同様、人間にとっても生命の営みの基本的な要素のはずです.

一方、高度に文明化された車社会に住む私たち現代人の生活は、自然の一部である動物としての人間の営みからは、大変かけ離れたものとなり、 「生活習慣病」という「運動不足病」を蔓延させています.一例として、糖尿病の患者数は、これまで車の生産台数に比例して増えてきたという事実があります.運動の習慣を取り戻すことは、「生活習慣病」を予防するだけでなく、自然の一部である動物としての人間本来の姿を取り戻すことでもあります。