内 科

 今回は、昨年から6階病棟で始まった経皮的エタノール注入療法(PEIT)について紹介致します。

肝細胞癌は肝硬変を合併し再発を繰り返すため、抗腫瘍効果のみならず肝機能も考慮した治療が重要です。1983年 Sugiuraらは、超音波映像下穿刺を応用した経皮的エタノール注入療法(PEIT)を開発しました。強力な脱水凝固作用をもつ純エタノールを、超音波映像下に直接針を穿刺して腫瘍内に注入し、腫瘍細胞を壊死に陥らせる方法です。腫瘍に対し十分なエタノールの注入を行なえば確実な腫瘍壊死効果がみられ、肝細胞癌の根治治療が得られます。しかも、残存肝組織には障害を与えないことから、肝予備能の低下した肝硬変症例でも施行できます。しかし、熟練した術者が行わなければ十分な効果は得られません。当院では、平成10年4月から赤木副院長を迎えPEITを開始しました。赤木副院長は九大病院から八幡済生会病院での10年間に、年間平均約200例の肝細胞癌症例に対して1300回に亘るPEITを施行してきた専門医です。当院でも症例数が増加し、平成11年6月までに延べ67名が治療を受けました。平成11年5月16日からは赤木副院長、緒方医長、中原久美子医師の3名の内科医師により、毎週月曜と水曜の午後2時から6階病棟処置室にて治療を行っています。

経皮的エタノール注入療法(percutaneous ethanol injection therapy, PEIT)の実際

@患者さんの静脈を維持液にて確保した後、前投与薬(ペンタゾシン15mg)を筋注します。
Aストレッチャーにて処置室へ搬入します。
B穿刺部位を消毒し、腹部超音波にて治療する面を描出し穿刺経路の局所麻酔を行ないます。
C呼吸を止めさせ、腫瘍を同定し穿刺します。
D腫瘍の部位まで針を進め、エタノールを注入します(1回2‐10ml程度)。
E術後は2時間の臥床が必要です。



    所要時間は一人平均10分で、通常は前投薬と局所麻酔により治療の痛みはありません。肝表面の腫瘍や部位的に穿刺が難しい場所ではエタノールの刺激痛がありますが、麻酔や鎮痛剤の追加で治まります。術後に発熱することがありますが一過性です。合併症として、まれに出血、胆管損傷などがありますが内科的に治療できます。3cm以下の腫瘍であれば2〜4回の治療で根治できることから、極めて優れた治療法といえます。さらに現在は、経皮的マイクロ波凝固療法(percutaneous microwave coagulation therapy, PMCT)を組み込みながら肝細胞癌の治療をしています。エタノールの代わりに電磁波を発生させる穿刺針を経皮的に腫瘍内に刺入する方法です。PEITより強力に腫瘍を凝固壊死させることができ、治療成績もさらに向上しています。